認知症の精神療法(心理療法)

①パーソン・センタード・ケア
認知症患者を人として無条件に尊重されることを中心として、共にあること、くつろぎ、自分らしさ、結びつき、たずさわりなどを重要視します。

②バリデーション
共感して、傾聴して接する療法で、「いつ」「どこで」は質問しても、感情面に触れるような「なぜ」の質問は避ける、相手の目を見つめて優しく話すなどのやり方です。

③ユマニチュード
同じ目線の高さで親しみをこめた目線を送り、実況するようにゆっくりと声掛けをし、優しく声をかけながらゆっくりと触れるなどのやり方です。

以上の療法については、院長が普段の診療で行っていますが、あまり治療を受けたという実感はないと考えます。むしろそういうことを意識せずに、自然な語りの流れで行うのがよいと考えます。これはNBM(Narrative-based Medicine;物語に基づいた医療)にも関係します。NBMは、患者さんが対話を通じて語る病気になった理由や経緯、病気について今どのように考えているかなどの「物語」から、病気の背景や人間関係を理解し、患者さんの抱えている問題に対して全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする手法です。
 精神療法(心理療法)は、他には回想法、音楽療法、現実見当識訓練(リアリティ・オリエンテーション)などがありますが、主に集団でのやり方で施設においてよく行われています。